厚生労働省は4月9日~4月30日にかけて、令和3年度介護報酬改定のQ&A 第5弾~第9弾を全国の自治体に向けて通知しました。

〔第5弾〕(4月9日通知)

第5弾では、2021年3月にリハビリテーションマネジメント加算(IV)を算定する場合に、3月末までにVISITへのデータ提出ができていなければ、できるだけ早期(4月10日以降でも可)にLIFEへデータ提出することで算定可能との解釈を示しました(p4参照)。

これは、3月末までにVISITへのデータ提出ができなかった場合について答えたものです。4月からリハビリテーション計画書の様式が変更されましたが、3月にリハビリテーションマネジメント加算(IV)を算定する場合は、旧様式で求める項目のみの提出で差し支えないことになりました(p4参照)。

提出期限について、4月10日以降でも可とはなっているものの、4月23日に厚生労働省が発表した、LIFEへのデータ提出期限を延長できる対象期間が4~6月に絞られていることから、出来るだけ早めのデータ提出が必要だということがわかります。

〔第6弾〕(4月15日通知)

第6弾では、「シーティング」として医師の指示の下に理学療法士などが椅子や車椅子等上での適切な姿勢保持などのため、患者の体幹機能や座位保持機能を評価した上で、体圧分散やサポートのためにクッションや付属品の選定・調整を行った場合、介護報酬上のリハビリテーションの実施時間に含めることが可能だと示しました(p3参照)。

この場合のシーティングとは、食事摂取などの日常生活動作の能力の低下を来した患者に対して行うことを指し、椅子やテーブルなどの環境を整えることで椅子に座ることが望ましいとしています(p3参照)。

日常生活機能の低下予防のためのシーティングがリハビリ実施時間に含まれることになったため、例えば、介護職員が食事のセッティングを行なうことでリハビリ実施時間が増えることになりました。ここから、一日の中でもなるべく多くの時間を使い、リハビリを促したいという意図が読み取れます。

〔第7弾〕(4月21日通知)

第7弾では、2021年9月30日までの上乗せ分の算定について、請求に当たり、上乗せ分のコードを併せて入力することが必要。これが行われない場合、返戻になると答えました。

※2021年9月30日までの上乗せ分:新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価として、2021年4月1日~同日までの間、基本報酬に0.1%上乗せするもの。

2021年9月30日までの上乗せ分の算定について、上乗せ分のコードを併せて入力する必要があることから、レセコン上でシステムの改修などの対応が必要になる場合があることがわかりました。

〔第8弾〕(4月26日通知)

第8弾では、2021年度改定で新設された入浴介助加算(II)(※)について、6つの問いに答えています。

※2021年度改定では、従来の通所介護等の入浴介助加算が入浴介助加算(I)40単位/日へ改定され、入浴介助加算(II)55単位/日(通所リハビリテーションは60単位)が新設されました。入浴介助加算(II)は、医師等が居宅を訪問し、浴室での利用者の動作および浴室の環境を評価した上で、利用者自身または家族などの介助により居宅で入浴ができるようになることが目的です。

①評価者として、医師、理学療法士等の他、地域包括支援センターの担当職員、福祉・住環境コーディネーター2級以上の者等を追加(p4参照)。

②算定開始後も、利用者の身体状況や居宅の浴室の環境に変化があった場合に、再評価や計画の見直しを行う(p4参照)。

③入浴介助の具体的な想定については、見守り的援助と身体介助を利用者の状態に応じて行う。算定に当たり、利用者の尊厳の保持に配慮して、利用者自身または家族などの介助で入浴ができるようになるように、関係者は常日頃から必要な介護技術の習得に努めるもの(p5参照)。

等と回答しています。

入浴介助加算(II)では、入所者本人や家族と相談し、可能な限り自宅での生活と同様の暮らしを続けられるという考えを尊重し、利用者一人ひとりの希望や状態に応じた入浴介助を行う必要があることを改めて強調する形となりました。

〔第9弾〕(4月30日通知)

第9弾では、通所介護や介護老人福祉施設などで、4月からの「ADL維持等加算(I)または(II)」算定について、やむを得ない事情により5月10日までのLIFEへのデータ提出および算定基準を満たすことの確認が間に合わなかった場合でも、LIFE以外の方法で算定基準を満たすか確認などをすれば、4月~6月サービス提供分の加算が算定できるとしています(p3参照)。

具体的には、以下ののいずれかによる取扱いで算定が可能であると明示しました(p3参照)。

①LIFE以外の手法で加算の算定基準を満たすか確認して加算を算定

※この場合でも、速やかにLIFEへのデータ提出を行い、LIFEで加算の算定基準を満たしているか確認を行うこと。

②5月10日以降に、LIFEへのデータ提出とLIFEで算定基準を満たすことを確認し、以下のいずれかの請求方法を行う

・月遅れ請求とし、請求明細書を提出

・保険者に対して過誤調整の申し立てを行い、本取扱いによる加算分を含めた請求明細書を提出

これは、4月23日に厚生労働省が発表した、LIFEへのデータ提出加算提出期限の延長を受けての回答だと考えられます。また、この回答によりLIFEでのデータ提出ができない期間中でも、その他の要件を満たすことで加算が取得できる方針が示されたことになります。

なお、令和3年度の介護報酬改定について、以下の通りにまとめています。

2021年1月18日 介護報酬点数の発表     :詳しくはこちら

2021年3月9日  解釈通知の発表      :詳しくはこちら

令和3年度介護報酬改定のQ&A 第1弾     :詳しくはこちら

令和3年度介護報酬改定のQ&A 第2~4弾 :詳しくはこちら

こちらもあわせてご参照ください。

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令和3年度介護報酬改定に関するQ&A
(Vol.5)(令和3年4月9日)

令和3年度介護報酬改定に関するQ&A
(Vol.6)(令和3年4月15日)

令和3年度介護報酬改定に関するQ&A
(Vol.7)(令和3年4月21日)

令和3年度介護報酬改定に関するQ&A
(Vol.8)(令和3年4月26日)

令和3年度介護報酬改定に関するQ&A
(Vol.9)(令和3年4月30日)

出所:厚生労働省