厚生労働省は3月23日、3月26日、3月29日にそれぞれ、令和3年度介護報酬改定のQ&A 第2弾、第3弾、第4弾を全国の自治体に向けて通知しました。

第2弾のQ&Aでは、「通所リハビリ・訪問リハビリのリハビリテーションマネジメント加算」に関する考え方と、特別養護老人ホームや老健などの「入所系介護サービスにおける加算の算定要件」の解釈について公表されました。

第3弾では、訪問系・通所系・居住系サービスにおける「加算算定の考え方」や「人員配置要件」の解釈など多岐にわたり公表されました。

第4弾では、「訪問介護での勤続年数の要件」「グループホーム・小規模多機能型居宅介護でのサテライト事業所」などに関する考え方や、「認知症専門ケア加算」の解釈について公表されました。

Q&Aの中で特に注目したいポイントは以下の通りです。

〔第2弾〕

●通所リハビリ・訪問リハビリのリハビリテーションマネジメント加算について

・「リハビリテーションマネジメント加算(A)(B)は、「リハビリテーション計画を利用者又はその家族に説明し、利用者の同意を得た日の属する月」から取得することとしているため、リハビリテーションの提供がなくても、リハビリテーションの提供開始月の前月に同意を得た場合は、当該月より取得が可能である。」ことが示されました。

この解釈により、リハビリの提供がない場合でも、リハビリテーション計画の説明と同意を得れば、リハビリテーションマネジメント加算を取得できることになります。

・「同一利用者に対して、複数の事業所が別々に通所リハビリを提供している場合、各々の事業者がリハビリテーションマネジメント加算の算定要件を満たしていれば、リハビリテーションマネジメント加算を各々算定できる」ことが示されました。

これは、事業所ごとに提供可能なサービスの種類が異なり、単一事業所で利用者が必要とする理学療法、作業療法、言語聴覚療法のすべてを提供できない場合、複数の事業所で提供することが考えられるためとしています。

●老健・介護医療院における加算の算定要件について

・令和3年度のリハビリテーション計画書情報加算並びに理学療法、作業療法及び言語聴覚療法に係る加算について、今回のQ&Aでは、「「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和3年3月 16 日老認発 0316 第3号、老老発 0316 第2号)別紙様式2-2-1及び2-2-2(リハビリテーション計画書)(中略)の各項目に係る情報を全て提出しフィードバックを受けることができる。このフィードバックを活用することで、利用者等の状態やケアの実績の変化等を踏まえたケア計画等の見直し・改善を行った場合は、別紙様式2-1から2-5までに係るその他の情報を提出していない場合であっても算定可能と考えて差し支えない」ことが示されました。

当初示された通知では、加算取得のために提出する情報が多い印象だったのに対し、今回のQ&Aでは、1人あたり書類2枚分程度の情報を提出すればよいことになります。これにより、当初の想定と比べて現場での負担は少ないことがわかりました。

〔第3弾〕

●加算算定の考え方について

・3%加算及び規模区分の特例について、「感染症や災害(3%加算の対象となる旨を厚生労働省から事務連絡によりお知らせしたものに限る。)によって利用延べ人員数の減少が生じた場合にあっては、基本的に一度3%加算を算定した際とは別の感染症や災害を事由とする場合にのみ、再度3%加算を算定することが可能である」ことが示されました。

Q&A第1弾では新型コロナウイルス感染症の影響によるものに限り、1年間で最大12か月間算定できるとしていましたが、第3弾では他の感染症や災害と同様に年度内に1回、最大6か月間算定できるという内容に変更となりました。

※3%加算の算定方法について、Q&A第1弾の内容が第3弾で変更となったため、ご注意ください。

●人員配置要件について

・個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロにおいて、「専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を配置する必要があるが、通所介護(地域密着型通所介護)事業所に配置が義務づけられている看護職員がこれを兼ねることは可能」という考えが示されました。

通所介護で配置が義務づけられている看護職員は、配置時間に関する規定がないことから、看護業務に従事していない時間帯は、機能訓練指導員として勤務することが可能です。

〔第4弾〕

●訪問介護での勤続年数の要件について

・特定事業所加算(Ⅴ)の勤続年数の要件について、以下の考えが示されました。

1)同一法人等での勤続年数の割合を要件としたものであること。

2)訪問介護員等としての経験年数を求めるものではないこと。

3)産前産後休業や病気休暇のほか、育児・介護休業、母性健康管理措置としての休業を取得した期間は雇用関係が継続していることから、勤続年数に含めることができること。

なお、同一法人等での勤続年数の考え方について、以下のように示されました。

1)同一法人等とは、同一法人のほか、法人の代表者等が同一で、採用や人事異動、研修が一体として行われる等、職員の労務管理を複数法人で一体的に行っている場合も含まれること。

2)下記の勤続年数は通算することが可能であること

i)同一法人等における異なるサービスの事業所での勤続年数や異なる雇用形態、職種(直接処遇を行う職種に限る)における勤続年数。

ii)事業所の合併又は別法人による事業の承継の場合、当該事業所の職員に変更がないなど、事業所が実質的に継続して運営していると認められる場合の勤続年数。

この解釈により、長く職員に働いてもらうことによるメリットが今まで以上に大きくなることが分かりました。

●グループホーム・小規模多機能型居宅介護でのサテライト事業所について

・グループホーム・小規模多機能型居宅介護では、「すでに認知症グループホーム(小規模多機能型居宅介護)として指定を受けている事業所が、サテライト事業所に移行することは可能」であることが示されました。

その際、事業所の職員に変更がないなど事業所が実質的に継続運営されている場合は、サテライト事業所の新規指定を市町村から受ける必要はなく、変更届・介護給付費算定に係る体制等状況一覧の変更の届出のみで良いこととなりました。

サテライト事業所では管理者の設置義務がないため、人材の効率的な活用が可能になります。

●認知症専門ケア加算について

・認知症ケア加算では、「認知症専門ケア加算(Ⅱ)を算定するためには、当該加算(Ⅰ)の算定要件の一つである認知症介護実践リーダー研修修了者に加えて、認知症介護指導者養成研修修了者または認知症看護に係る適切な研修修了者を別に配置する必要はない」ことが示されました。

つまり、例えば加算の対象者が20人未満の場合、認知症介護実践リーダー研修と認知症介護指導者養成研修の両方を修了した者か認知症看護に係る適切な研修を修了した者のいずれか1人配置されていれば、認知症専門ケア加算(Ⅱ)を取得できます。

なお、厚生労働省では、令和3年度の介護報酬改定改正について、1月18日に介護報酬点数の発表(詳しくはこちら)を、3月9日には解釈通知の発表(詳しくはこちら)をそれぞれ行いました。

また、令和3年度介護報酬改定のQ&A 第1弾についてはこちらにまとめています。

こちらもあわせてご参照ください。

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令和3年度介護報酬改定に関するQ&A
(Vol.2)(令和3年3月 23日)

令和3年度介護報酬改定に関するQ&A
(Vol.3)(令和3年3月 26日)

令和3年度介護報酬改定に関するQ&A
(Vol.4)(令和3年3月 29日)

出所:厚生労働省