介護報酬の3年に1度の改定時期が2021年度に迫り、政府内の議論が本格化しています。焦点の
新型コロナウイルスの影響を巡り、厚生労働省は「感染防止策を講じる事業者の経費が増える」とプラス改定を求めています。これに対し、財務省は「負担増の環境にない」と利用者負担や
保険料、公費支出が増すことにつながる報酬増に慎重な立場をとっています。
厚労省がプラス改定を求めるのは、人手不足がなお深刻で、人員確保のために介護職員の処遇改善が必要なことも背景にあります。また、コロナで失われた雇用の一部を介護業界で吸収できる余地があるとの見方もあります。
一方、介護費は20年間で3倍超に膨らんでおり、1%の改定率でも約1,200億円変動します。
そのため財務省は、2019年度決算で介護業界の利益率は2.4%と、サービス産業全体の中小企業
(2.5%)と同程度の水準だったことから、「プラス改定にする事情がない」と主張しています。
今後のスケジュールとして、2020年12月に介護報酬改定についての基本的な考え方の整理・
とりまとめを行い、国の来年度予算が決定(改定率が決定)します。その後、2021年3月に
介護報酬改定の詳細が決定する予定となっています。
介護報酬の改定によって介護業界の雇用や経営安定化などにも大きく影響してくるため、今後も
目が離せない展開となりそうです。
第176回社会保障審議会介護給付費分科会(ペーパーレス)資料3
出所:厚生労働省